おもてなしとサービスの違い
接客業の仕事をしていたときに、おもてなしの心を忘れずにということをよく言われてきました。「おもてなし」「おもてなしの心」とはどういうことか、自分の経験から学んだことも含めてまとめてみました。
接客業やサービス業では、目の前にお客さまがいるのが「普通」です。
そのお客さまに対してどういうふうに接したらいいのか、仕事をはじめたころには、お客さまとの距離の取り方に戸惑いました。
人と接するにあたって、3つのキーワードがあります。
マナー、サービス、ホスピタリティ(おもてなし)です。
マナーとは、人に不快感を与えないための、そのシーンに合わせた最低限のルールのことをいいます。
サービスという言葉には、その語源であるラテン語servitusに「奴隷」というニュアンスが含まれています。これはサービスを提供する側と受ける側に主従関係が発生することを意味しています。例を挙げてみるとお客様がある一定の対応を受けるのに主従関係が発生しチップが存在する、など。
最後の「ホスピタリティ」は、日本語のおもてなしに相当します。ホスピタリティは病院hospitalと語源がいっしょの言葉で、巡礼者など旅の疲れた人たちに水や食べ物をすることを意味しました。家族と接するようなあたたかい心で、見返りを求めない対応を示しています。
あたたかい心で思いやりのある態度をとるのが、おもてなしの精神にあります。おもてなしを受ける人たちが安心感や守られている気持ちを持ち、満足して帰って行くこと、それがもっとも大事なことです。